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ACAMS主催「The Assembly 日本 2023」に出展、講演しました

2023年9月20日(水)・21日(木)に、ACAMS主催のグローバル・カンファレンス「The Assembly 日本 2023」がグランド ハイアット 東京にて開催されました。
 

ACAMS(Association of Certified Anti-Money Laundering Specialists、公認AMLスペシャリスト協会)は、金融犯罪対策に従事するプロフェッショナル向けの世界最大の会員制組織であり、「The Assembly 日本 2023」は、「継続的なマネー・ローンダリング/金融犯罪対策と制裁対応-官民連携-現状と課題」をテーマに開催されました。

 Fenergo Japan(以下、Fenergo 読みはフェナーゴ)はプラチナスポンサーとして協賛し、講演及びブース出展を行いました。
 会場では、専門家による多彩なセッションが行われ、多くの来場者で賑わいました。

 Fenergoは、9月20日に行われたセッション「法人・法的取極めの透明性と実質的支配者管理を巡る最新の動向」に登壇し、日本支社の営業部長兼カントリーマネジャーのスウィニー・デニス氏(以下、スウィニー氏)が、国内外における実質的支配者管理を巡る取り組みや対策について、内閣府の担当官とともに解説しました。
 

Fenergoのブースでは製品デモンストレーションが行われ、多くの来場者が立ち止まり、説明に聞き入っていました。日本のKYC調査レポートやESGコンプライアンスを解説するホワイトペーパーが配布され、好評を博しました。

Fenergoの講演概要
 

主要なトピックス

  •  FATFの対日審査結果の概要 
  •  世界で導入が進む、公的なUBO登記簿
  •  実質的支配者コンプライアンスの進め方
  •  システム化における考慮事項
  •  FATFの対日審査結果の概要 

 マネー・ロンダリング(以下、マネロン)やテロ資金供与といった金融犯罪を撲滅するため、企業の実質的支配者に対する透明性を高める取り組みが世界的に進められています。実質的支配者とは、法人の事業活動に支配的な影響力を有する者のことで、「UBO(Ultimate Beneficial Ownership)」と呼ばれます。

 アンチ・マネロン等の有効性評価を行う国際団体である金融活動作業部会FATF(Financial Action Task Force)による第4次対日審査では、法人の実質的支配者の把握に関して、「有効性把握(IO.5)」および「勧告 24(R.24)」項目において、一部適合という結果でした。イギリスなどが高い評価を受ける一方で、日本は、豪、独、韓国と並び中位に位置づけられています。

  •  世界で導入が進む、公的なUBO登記簿

 スウィニー氏は、金融犯罪撲滅対策を進める上で、UBO情報を含む公的登記簿が重要となると解説しました。

 公的なUBO登記簿とは、法人のすべての実質的支配者または受益者が登録され、関係する団体・個人についての情報を利用できる登記情報のことで、実質的支配者については、 125ヶ国で中央当局登記され、111ヶ国で公的登記簿に登録されています。しかしながら、日本ではいずれも導入されていません。

 スウィニー氏は、UBO公的登記簿とFATF評価には高い相関があると図解しました。例えば、イギリスやスペインなどUBO登記簿制度がある国はFATFから高い評価を受けていますが、未導入国は低い評価の傾向があり、未導入である日本はFATFの勧告に未対応と評されており、公的なUBO登記簿の導入は、マネロン対策の重要な第一歩であると論じました。
 
 

  •  実質的支配者コンプライアンスの進め方

 UBO登録及び管理においては考慮すべき様々な要素があるため、金融機関にとって最も手間がかかる手続きの1つです。

スウィニー氏は、UBO登記簿を利用することでデータ収集が容易となることを、法人取引における顧客オンボーディング(新規顧客口座開設)のワークフローを例にあげて、イギリスと日本でのプロセスを比較しました。

 UBO登記制度が導入されているイギリスに比べ、未導入の日本では、さまざまなデータソースからデータを入手・抽出し、クロスチェックする作業が生じます。例えば、ベンダーからの情報、定款、年次報告書、顧客への照会、加えて、追加情報として生年月日や住所などを追加入手する必要もあるため、非常に手間がかかります。続くスクリーニング作業においても、複数のソースから出来るだけ多くの情報を組み合わせて判断することをFATFが推奨しています。リスク評価については、各国の規制、行内ルールなどの要件に応じて最適なアプローチを選択することが求められます。さらに、グローバルでの最新の規制導入や制度変更などが発生するため、金融機関では対応に苦慮しているのが現状です。

  •  システム化における考慮事項

 

スウィニー氏は、法人取引における顧客オンボーディングと継続的顧客管理業務プロセスを自動化することが、金融機関の負担軽減と精度向上のカギとなると述べました。
 日本では、UBO管理において、各方面からのさまざまなデータ収集と解釈が必要とされ、考慮すべきシステム要件も多いため、手動と自動の調和を図りながら一元管理を目指すのが良いと提言しました。